再生医療は保険適用される? 医療費の仕組みと変形性膝関節症の治療を徹底解説【2025年版】

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はじめに

近年、“再生医療”という言葉をテレビやニュースで耳にする機会が増えてきました。

再生医療はこれまでの治療では改善が難しかった病気に対し、新しい可能性を切り開く先進医療として注目されています。

しかし、その一方で「保険は使えるの?」「治療費が高額で不安…」といった声も多く聞かれます。

そこで本記事では、再生医療とは何か、日本の医療制度における保険の仕組み、そして多くの日本人が悩む変形性膝関節症を例に挙げながら、再生医療の保険適用の現状と今後の展望をわかりやすく解説していきたいと思います。


再生医療とは?

基礎知識と役割

再生医療とは、病気やケガで損傷を受けた臓器や組織の機能を、細胞や再生因子、人工材料などを用いて再生・修復する医療技術のことです。

治療の対象には、難治性の神経障害、心筋梗塞後の心機能障害、関節障害、脊髄損傷などが含まれ、これまで有効な治療が乏しかった疾患に対して新たな選択肢を提供します。画期的な治療法であります、

🧬 2014年には、日本でiPS細胞を用いた世界初の移植手術が成功。

     以降、再生医療は国を挙げて推進されている分野です。日本人としてもワクワクしますよね。


日本の医療制度の仕組み:保険診療と自由診療

保険診療とは?

日本には「国民皆保険制度」があり、すべての国民が公的医療保険に加入しています。

保険証を提示することで全国どこでも一定の自己負担(通常0~3割)で医療が受けられます。

この保険診療は、治療内容と費用が厚生労働省の「診療報酬制度」によって全国一律に定められており、誰でも公平に医療を受けられる仕組みになっています。すべての人に医療がいきわたる素晴らしい制度だと思います。相互扶助の精神に則り、社会インフラとしても素晴らしい面があります。

自由診療とは?

一方で、「自由診療」は、厚生労働省が未承認の治療や薬剤を使う場合に該当し、全額自己負担(10割負担)になります。美容医療などもこれに該当します。

🔎 多くの再生医療は、まだ自由診療の段階にあるのが現状です。

ただし、自由診療は必ずしもネガティブなものではなく、日本では未承認でも海外で承認されている先端技術をいち早く受けられるなど、患者の選択肢を広げる重要な手段でもあります。実際にそれで改善しなかった症状が改善したなどの話は整形外科だけではなく、他の科でも多く聞かれる話です。


再生医療は保険適用されるのか?

保険適用の現状(2025年時点)

現在、厚生労働省の承認を受けて保険適用されている再生医療は、わずか16〜20種類程度に留まっています。これは、再生医療の多くがまだ「条件付き承認」や「先進医療」の段階にあるためです。

そのため、多くの再生医療は自由診療としての提供が中心となっています。これは残念ながら、事実です。

先進医療制度:保険との併用が可能

原則として、保険診療と自由診療の併用(混合診療)は認められていませんが、「先進医療」として厚労省に認められた治療であれば、再生医療の部分は自己負担、一般診療部分は保険が適用されます。


医療費控除の活用で自己負担を軽減できる

高額な自由診療を受けた場合でも、一定の条件を満たせば医療費控除を受けることが可能です。

医療費控除のポイント

  • 対象:1年間で支払った医療費が「所得の5%」または「10万円」を超える場合

  • 控除額:支払った医療費から基準額を差し引いた額

  • 対象に含まれる費用:自由診療・通院交通費・薬局での薬代など

💡 例:PRP療法で30万円支払った場合、医療費控除により約6万円程度の税還付が

     受けられる可能性があります(所得により異なる)

領収書の保管と確定申告が必須となるため、治療後の手続きも忘れずに行いましょう。


変形性膝関節症でみる再生医療の保険適用状況

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が加齢や外傷によりすり減ることで痛み・腫れ・変形が生じる病気です。

  • 推定患者数:約3,000万人(自覚症状あり:約1,000万人)

  • 発症年齢:50代以降に多く、女性の方が発症率が高い傾向

従来の治療法(すべて保険適用)

治療法 保険適用 内容
消炎鎮痛薬、ヒアルロン酸注射 炎症や痛みを和らげる対症療法
リハビリテーション 筋力や関節可動域を維持・改善
関節鏡下手術・人工関節置換術 関節の構造的修復や置換を行う外科的治療

高額療養費制度を併用することで、医療費負担の上限を超えた部分は支給されます。


再生医療による治療法と保険適用の現状

保険適用されている治療法

  • 自家培養軟骨移植術(2013年4月〜保険適用)
     患者本人の軟骨を採取して体外で培養し、欠損部へ移植する治療法。

🟡 対象疾患:外傷性軟骨欠損症、離断性骨軟骨炎など。
❌ 変形性膝関節症は現時点では対象外。


保険適用外(自由診療)の治療法

治療法 内容 備考
脂肪由来幹細胞治療(ASC) 自分の脂肪から幹細胞を抽出し注入。 炎症抑制・修復促進に効果が期待される
PRP療法(多血小板血漿療法) 自己血液から血小板を抽出し関節へ注入。 PRP=Platelet Rich Plasma。組織再生を促す成長因子を含む
APS療法 PRPを濃縮し、抗炎症作用のある成分を高めた製剤を関節に注射。 関節炎や変形性膝関節症の進行抑制が期待される

💰 これらの治療はすべて自由診療で、1回数十万円の費用が発生することが一般的です。


再生医療の保険適用を広げるには?

再生医療を保険適用にするには、厚生労働大臣の承認が必要です。

以下の流れで審査・判断されます。

保険適用までの流れ

  1. 有効性・安全性の臨床データ提出

  2. 中央社会保険医療協議会(中医協)で審査

  3. 必要に応じて「条件・期限付き承認」制度を活用

  4. 保険収載され、診療報酬として全国適用

現在は、先進医療指定を経て臨床使用→保険適用へと進む道筋が構築されつつあります。


民間保険との連携と今後の展望

再生医療に対応した民間医療保険はまだ少ないのが現状ですが、がん治療の自由診療をカバーする商品が増えたように、今後の保険商品開発が期待されています。

一部の少額短期保険では、再生医療に関する給付オプションが登場しており、民間保険会社の動向も注目されています。


まとめ:再生医療という選択肢をすべての人に

再生医療は、これまで治療困難だった病気に対する新しい選択肢です。特に変形性膝関節症のように高齢化社会で患者数が増加する疾患にとって、有望な治療手段となりつつあります。

しかし、現時点ではその多くが自由診療であり、費用負担が大きな壁になっていることも事実です。

今後は、

  • 保険適用の拡大

  • 医療費控除の活用促進

  • 民間保険の充実

  • 医療者・患者双方の知識のアップデート

などを通じて、再生医療を「一部の人の治療」から「誰もが選択できる治療」へと進化させていくことが求められます。

🔦 選択肢として「再生医療」があなたやあなたの大切な人の未来を変えるかもしれません。

当クリニック(さくら通り整形外科クリニック)では自由診療として再生医療(PRP療法・エクソソーム療法)を行っています。無料のカウンセリングも実施しておりますので、ご興味のある方はぜひ、一度、受診してお話しだけでも聞いてみてください。

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あなたにとって最適な選択を、一緒に考えていきましょう。



参考引用文献一覧

  • 厚生労働省「再生医療等安全性確保法の概要と制度」

  • 厚生労働省「再生医療等技術の保険収載までの流れ」

  • JST POLICY DOOR「再生医療、コストの壁をどう破る」

  • 日本政府「再生医療などのイノベーションの発展に向けて」

  • 第一生命経済研究所「『先進医療』制度を利用した再生医療」

  • 厚生労働省「条件及び期限付き承認を受けた再生医療等製品の保険適用について」

  • WIC-net「再生医療等安全性確保法が適用される先進医療B医療技術に係る資料」

  • 製薬協「再生医療等製品の臨床開発に関する参考書」

  • 日本整形外科学会「【論文解説】脂肪幹細胞による変形性膝関節症の治療成績」

  • 整形外科専門医会「変形性膝関節症の論文データを読み解く」

  • J-Stage「変形性膝関節症の発症・進行予防の可能性-滑膜幹細胞移植による半月板の再生医療」

  • J-Stage「変形性膝関節症に対する新しい治療“PRP療法”について」

  • 大阪大学再生医療研究拠点「再生医療」

  • 国立保健医療科学院「再生医療等安全性確保法における再生医療等のリスク分類」

  • 厚生労働省「医療保険における革新的な医療技術の取扱いに関する考え方」

  • J-Stage「先進医療B制度と患者申出療養制度」

  • FIRM 再生医療イノベーションフォーラム「再生医療等製品の価格算定」

  • saiseiiryou-doc.com「再生医療の保険適用はいつから?今後認可が期待されている治療」

  • 日本再生医療学会「幹細胞を用いた自由診療について」

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