変形性膝関節症×PRP注射――最新エビデンスで見る“痛み改善率”
1 はじめに
「ヒアルロン酸ではもう効かない」「手術はまだ避けたい」「入院はできない」「乳井sんすると家族の面倒が見られない」——そんな声に応える再生医療がPRP(多血小板血漿)注射です。自分の血液から取り出した成長因子を膝に戻すだけのシンプルな治療で副作用はヒアルロン酸と同等レベルですが、痛み・機能スコアの改善が6〜12 か月続くとの報告が相次いでいます。
こちらの論文でも紹介されています。→PubMed
この文章は最新のエビデンスに基づき、作成しています。ぜひご参考にして下さい。
2 PRPって何?超入門
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採血(約20 mL)
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遠心分離→血小板を4〜10倍に濃縮
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関節内注射(超音波ガイドで安全に)
血小板には「ケガを治せ!」と命令するサイトカインがぎっしり含まれています。膝関節では①炎症を鎮める ②軟骨細胞の働きを助ける ③痛み物質をブロック、の三段活用で作用します。
3 最新研究ピックアップ(2024–2025)
エビデンス | 期間 | 被験者 | 主結果 | 引用 |
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RCT(最も優れた研究):PRP vs 運動療法 | 24 週 | 120例 | PRP単独≒運動単独。ただし併用群で最大改善。 | PubMed |
メタ解析:PRP vs HA | − | 1 498例 | VAS −1.2 cm、WOMAC −8.5でPRP優位。 | PubMed |
メタ解析:PRP vs プラセボ | 12 か月 | 18試験 | 高濃度PRPで効果量0.6(中等度)。 | PubMed |
PRP + HA併用 | 6 か月 | 9試験 | 単独PRPより痛み・機能とも有意に良好。 | BioMed Central |
PRP vs ステロイド | 6 か月 | 320例 | ステロイドが痛み減少で僅差優位。ただし12 週以降は逆転傾向。 | サイエンスダイレクト |
まとめ:
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**短期(〜3 か月)**はステロイドに肉薄されているが、ステロイド注射は副作用が心配となります。。
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**中期(6 か月)**でヒアルロン酸を上回る。ヒアルロン酸に比べ、頻繁な受診が不要となります。
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高濃度・2〜3回投与が好成績。
実際に論文で紹介されている最新のデータをまとめています。
4 対象になるのはこんな人
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X線KLグレード1〜3(4という隙間がほぼなくなった膝には向きません。)
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体重管理と運動を続けているが痛みが残ってしまう。
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血液サラサラ薬を中止できる(2〜3日)
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自己血採取を許容できる年齢と体力。体が弱っている方には幹細胞培養上清液(エクソソーム)の関節内投与を推奨しています。
重度(KL4)や明らかなO脚は骨切り術や人工関節のほうが予後良好です。
5 施術の流れと費用感
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受付〜採血:15 分程度で終わります。
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2−3週間ほどで製剤が完成します。
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注射:5 分 ※局所麻酔下に行います。 投与手技は超音波検査を用いて正確な場所に最新の投与方法で投与しています。
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歩行確認で帰宅となります。
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費用:1回6〜10 万円(自由診療)
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回数:1 週おきに計2〜3回が標準
6 効果を最大化する3ヵ条
時期 | やること | 理由 |
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48 時間以内 | 軽い冷却+安静 | 炎症フェーズをコントロール |
1 週以内 | 可動域ストレッチ | 関節液循環で成長因子を拡散 |
2 週以降 | 大腿四頭筋トレ(椅子スクワット) | 膝荷重を分散し効果持続 |
7 よくある質問(Q&A)
Q | A |
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痛みはいつ減りますか? | 多くは1〜4 週、遅い人で8 週。 |
効果が切れたらどうすればいいでしょうか? | 再度駐車する方もいますし、注射で粘る方もいます。手術に移行する方もおられます。6〜12 か月後に追加注射も可能です。希望に応じてこちらから提案させていただきます。 |
一緒にヒアルロン酸と混ぜてもいい? | 別日に打つ方が関節の中のpHが安定するので、好成績と言われています。基本的にはPRP単独で単独で注射させて頂きます。 |
副作用はありますか? | 1〜2日腫れる程度です。基本的には普通の注射と副作用は変わりません。感染は1万例で1例以下と言われています。 |
保険適用の予定はありますか? | 2025年4月現在は、完全な自由診療となります。ただし医療費控除対象となりますので、控除を受けられる可能性があります。 |
8 参考文献
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González et al. PRP vs exercise in mild KOA: RCT. 2024. PubMed
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Zhang Y. PRP vs HA meta-analysis. 2025. PubMed
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Lee H. High-platelet PRP improves WOMAC. 2025. PubMed
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Wu Q. PRP+HA superiority study. 2024. BioMed Central
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Patel K. PRP vs corticosteroid comparison. 2025. サイエンスダイレクト
まとめ
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PRPは自分の血液で軟骨修復を後押しする低侵襲な治療です。
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ヒアルロン酸より効果が長持ちし、6〜12 か月改善を示す報告多数出てきました。
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治療成功の鍵は高濃度PRP+適切な回数+そしてリハビリテーション。