1. 早期変形性膝関節症とは?
1‑1 定義
-
症状:膝の痛みや違和感が1 か月以上続く。
-
画像検査:レントゲンでは骨の隙間が保たれ Kellgren‑Lawrence 0〜1。
-
MRI/エコー:軟骨のむくみ(浮腫)や滑膜(かつまく=関節の袋)の炎症が映る。
つまり「見た目は正常なのに、実は関節の内側で炎症や軟骨のダメージが始まっている」状態のことを指します。ここで手を打てば進行を大きく遅らせられると報告されていますMedscape。
膝を痛めて日常生活がままならない人をたくさん見てきたからこそ皆さんにはそうなってほしいです!
1‑2 なぜ早期発見が大事?
軟骨は血管がほとんどなく、一度大きくすり減ると自然再生しにくい組織です。症状が出てから1年以内に予防運動を開始した人は、より遅くから始めた人より痛みも機能低下も小さかったという研究があり、これを“ゴールデンウィンドウ”と呼びますMedscape。
2. エコーでここまで分かる!
2‑1 軟骨の厚さを測る
超音波(エコー)は高い音の反射を画像にする検査です。大腿骨(ふとももの骨)と脛骨(すねの骨)の軟骨を1 mm単位で測定し、2 mm以上の薄化で早期OA疑いとする基準が提案されていますPubMed。
2‑2 炎症をとらえるパワードプラー
パワードプラーという機能を使うと、滑膜に集まる細い血管の血流がオレンジ色に光ります。光が多いほど炎症が強い=痛みの元と判断できますFrontiers。
2‑3 動きを映す「動的エコー」
しゃがみ込みやスクワットをしながらエコーを当てると、半月板の挟み込みや脂肪体(クッション役)の衝突がリアルタイムで見えます。原因動作がその場で分かり、運動指導に直結します。
2‑4 エラストグラフィで硬さを測定
エラストグラフィは「押したときの揺れ方」を色で表示し、軟らかい=傷み始めた軟骨を青、硬い=健康な軟骨を赤で示します。レントゲンでは写らない「前変性」段階をキャッチできると期待されていますシュプリンガーリンク。
ポイント:エコーは
被ばくゼロ・即時結果
動きながら評価
検査コストがMRIの約1/3
とメリット満載。早期OA診療の“新しい目”です。
3. 進行を止める3大ポイント
3‑1 運動療法――ゴールデンウィンドウを逃さない
-
頻度:週3回以上
-
内容:
-
大腿四頭筋スクワット(椅子から座り立ち20回×2セット)
-
お尻歩き(骨盤を前後に動かしながら前進2 m×往復)
-
バランス練習(片脚立ち30秒×左右3回)
-
症状出現から1 年以内に始めれば、10 年後の人工膝関節率が半分に減ったという報告もありますmdedge.com。これはもう運動しない理由がないですよね。やはり自分が行うという努力がとても重要になります。
3‑2 体重管理――1 kg減で膝荷重は3 kg減
体重の3倍以上の負荷が膝にかかります。BMIを 1ポイント下げる だけで痛みが大きく軽くなるケースも。ジョギングで痛む人は、まず 自転車や水中ウォーク で減量を。減量しただけ負担は軽くなりますね。親交のスピードを著しく遅らせることができます。
3‑3 再生医療――PRP & エクソソーム
手法 | ポイント | エビデンス |
---|---|---|
PRP (多血小板血漿) |
自分の血液を遠心分離して濃縮し、成長因子で修復を促す | 高濃度PRPが低濃度より痛み軽減・機能改善に優れるメタ解析(RCT 30本以上)PubMedSAGE Journals |
エクソソーム | 幹細胞が分泌する超小型カプセルで、炎症ブレーキmicroRNAを運ぶ | PEP™ Phase 1b試験が2025年3月に開始、安全性と軟骨再生シグナルを検証中ビジネスワイヤ。中国でもUC‑MSCエクソソームの関節内投与が進行中centerwatch.com |
-
超音波ガイド下で関節腔を確認
-
PRPまたはエクソソーム を内側までに正確に注入
-
痛みを確認して、安静→そのまま歩いて帰宅可
注意:再生医療は現時点で自由診療(保険外)。費用・リスクを必ず医師に確認するようにしましょう。
4. よくある質問(Q&A)
Q | A |
---|---|
1. エコーはどのくらいの頻度で受ければ良い? | 頻度が増えれば良いとおいうものではないので、初回診断後は3 か月ごと。その間に運動や体重管理の効果を確認します。 |
2. PRPは年1回で十分? | 症状とKL分類によりますが、高濃度PRPなら1−2年程度痛みが抑えられる報告があります。続く痛みがあれば追加投与を検討します。 |
3. エクソソームは安全ですか? | 進行中の臨床試験では大きな副作用は報告されていません。ただし自由診療であり、長期データはこれからです。 |
4. 膝が痛いけど走ってもいい? | 痛みが10段階で2以下、エコーで滑膜炎が軽い場合はOK。ただし着地衝撃の少ないシューズを選び、最初は10分程度からはじめていただくのが無難だと思います。。 |
5. ヒアルロン酸注射と一緒に受けてもいい? | 先にヒアルロン酸で炎症を落ち着かせ、1〜2週後にPRP/エクソソームを行う併用法が一般的です。 |
6. 自宅でできるセルフケアは? | 大腿四頭筋スクワット、ストレッチ、体重−5 %を目標にした食事改善が基本です。 |
5. まとめ
-
エコーは被ばくゼロで軟骨厚・炎症・動きを即時評価できる「早期OAの新しい目」。
-
ゴールデンウィンドウ(発症1 年以内)に運動を始めると進行が大きく抑えられる。
-
再生医療はPRPからエクソソームへ進化中。超音波ガイド下投与で精度と安全性が向上。
-
痛みを感じたら「様子見」は禁物! セルフチェック+専門医相談で手遅れを防ぎましょう。
6. 参考文献
-
Research progress of ultrasound in accurate evaluation of cartilage … PubMed, 2024 PubMed
-
Early Knee Osteoarthritis: Exercise Therapy’s Golden Window. Medscape, 2024 Medscape
-
PRP Injections for Knee Osteoarthritis Meta‑analysis. PubMed, 2025 PubMedSAGE Journals
-
RION Announces Phase 1b Study of PEP™ Exosome for Knee OA. BusinessWire, 2025 ビジネスワイヤ
-
Ultrasound Shear‑Wave Elastography in OA Diagnosis. Frontiers in Medicine, 2024 Frontiers
-
Shear Wave Ultrasound Elastography for Cartilage Stiffness. Springer, 2024 シュプリンガーリンク
-
Clinical Trial: UC‑MSC Exosome Injection in Knee OA. CenterWatch, 2024 centerwatch.com
-
Early Knee OA and Exercise Outcomes. Mdedge Fed Pract, 2024 mdedge.com
膝の違和感を「年のせい」と済ませず、今日からできるケアで未来の膝を守りましょう!