はじめに
「注射はこわい」「副作用が心配」。膝の再生医療(PRP療法や、幹細胞培養上清液〈エクソソーム〉の注射)について、そんな声をよくお聞きします。
どの治療にも、副作用が起こる可能性はあります。だからこそ大切なのは、起こりうる副作用を知り、できるだけ抑えるための準備とケアを行うことです。
この記事では、治療を受ける前、当日、注射後の過ごし方に分けて、副作用を抑えるために気をつけたいことをご紹介します。
1 副作用ってなに?
副作用とは、ねらった効果のほかに起こる、望ましくない体の反応のことです。膝の再生医療で気をつけたい主な副作用は、次のとおりです。
- 注射したところの痛み・はれ・熱っぽさ・内出血(数日で落ち着くことが多いですが、個人差があります)
- 感染(注射した部位からばい菌が入り、赤く腫れて熱をもつ)
- アレルギー反応(じんましん、かゆみなど)
PRP療法では採血を行うため、採血した部位の痛みや内出血、気分が悪くなること(血管迷走神経反射)が起こることもあります。重い副作用はまれですが、ゼロではありません。気になる症状があれば、自己判断せずにご連絡ください。
2 治療を受ける前に確認したい5つのこと
2‐1 きちんとした診断
- レントゲンで骨どうしのすき間を確認します
- 必要に応じてMRIで、軟骨や半月板の状態を確認します
痛みの原因によっては、注射よりもリハビリや、ほかの治療が向いていることもあります。再生医療が合うかどうかは、診察で確かめます。
2‐2 体調とアレルギーの確認
必要に応じて血液検査を行い、体の状態を確認します。以前に注射や薬でじんましんなどが出たことがある方は、必ずお伝えください。
2‐3 飲んでいるお薬の確認
血液をサラサラにするお薬など、飲んでいるお薬はすべてお伝えください。自己判断でお薬をやめず、続けるかどうかは医師と相談して決めます。
2‐4 睡眠と食事
前日はよく眠り、当日は食事をとってからお越しください。採血のあとに気分が悪くなるのを防ぐためにも、空腹のままの来院は避けましょう。
2‐5 ご家族への共有
注射後に気をつけることや、気になる症状が出たときの連絡先を、ご家族にも伝えておくと安心です。
3 当日、副作用を抑えるために当院が行っていること
- 清潔な操作:注射する部位を消毒し、清潔な手順で行います
- 使い捨ての器具:採血針・注射針などは使い捨てのものを使います
- 超音波(エコー)の活用:必要に応じて、画像で確認しながら注射します
- 体調の確認:注射の前後に体調をうかがい、気分が悪くなったときはすぐに対応します
こうした手順で感染などのリスクを抑えますが、副作用を完全になくせるわけではありません。
4 注射後48時間の過ごし方
4‐1 目安となる過ごし方
- 当日:歩くことはできますが、激しい運動は控えます。入浴は医師の指示に従ってください(シャワー程度にとどめるよう案内することがあります)
- 翌日:軽い家事などは、痛みに合わせて行います
- それ以降:運動やスポーツは、痛みや腫れの様子を見ながら、医師・理学療法士と相談して少しずつ再開します
過ごし方の目安は、治療の内容や膝の状態によって変わります。診察時の説明を優先してください。
4‐2 冷やすときのコツ
痛みや腫れがあるときは、保冷剤をタオルで包んで、短い時間ずつ冷やします。冷やしすぎると皮膚を傷めることがあるので、直接肌に当てたり、長時間当て続けたりしないでください。
4‐3 食事
たんぱく質やビタミンを含むバランスのよい食事と、こまめな水分補給を心がけましょう。
5 副作用かな?と思ったら
| こんなとき | してほしいこと |
|---|---|
| 膝が熱をもって赤く腫れてきた、痛みが日ごとに強くなる、熱が出た | 感染の可能性があります。すぐにクリニックへご連絡ください |
| じんましん、かゆみ、息苦しさなど | アレルギー反応の可能性があります。息苦しさなど強い症状があるときは、すぐに医療機関を受診してください |
| 我慢できない強い痛み | 冷やしながら、クリニックへご連絡ください |
痛み止めを使ってよいかどうかは、治療の内容によって変わることがあります。自己判断で飲まず、医師にご相談ください。
6 副作用の起こりやすさについて
副作用の起こりやすさは、治療の種類、注射する部位、体の状態などによって異なります。数字だけで「安全」「危険」と決めつけず、ご自身の場合にどんな副作用が考えられるかを、診察で医師にご確認ください。
7 膝の負担を減らすために、日ごろからできること
- 体重の管理:体重が増えると、膝にかかる負担も大きくなります
- 筋力づくり:太ももの筋肉を鍛える運動は、膝を支える助けになります。運動の内容は、医師・理学療法士と相談して決めましょう
- 睡眠:十分な睡眠は、体の回復のために大切です
8 よくある質問
Q1:ワクチン接種と日にちが近い場合は?
A:接種の予定がある方は、事前にお知らせください。日程の調整を医師と相談しましょう。
Q2:学校行事や仕事と重なってしまったら?
A:注射後しばらくは激しい運動を控える必要があります。予定と重なる場合は、日程の変更をご相談ください。
Q3:何回でも受けられますか?
A:回数や間隔は、膝の状態や効果の出方を見ながら医師が判断します。
Q4:エクソソームの製品はどうやって選んでいますか?
A:使用する製品の内容や入手経路については、治療前に書面でご説明します。
9 受ける前のチェックリスト
□ 診察と画像検査で、膝の状態を確認した
□ 飲んでいるお薬やアレルギーを医師に伝えた
□ 前日はよく眠り、当日は食事をとった
□ 注射後の過ごし方をご家族と共有した
□ 気になる症状が出たときの連絡先を控えた
10 体験談:中学3年・サッカー部Aくんの場合
Aくんは休日練習で膝をねんざして以来、階段を下りるときにズキッと痛む状態が3か月続いていました。MRIを撮ると「滑膜炎《かつまくえん》が残っている」と判明。PRPを2回、2週間あけて注射したところ――
| 評価項目 | 初診 | PRP1か月後 | PRP3か月後 |
|---|---|---|---|
| VAS痛み | 70/100 | 40/100 | 20/100 |
| 階段下り | 片足ずつそろそろ | 交互に下りられる | 小走りOK |
| サッカー練習 | 見学のみ | パス練習まで | 試合フル出場 |
Aくんの例でも分かるように、治療効果を高めるカギは早めの受診とルール順守です。
11 参考文献(やさしい要約つき)
-
日本整形外科学会ガイドライン2024
⇒ PRPとエクソソームは自由診療だが、安全性は高いと記載。 -
Li X. ほか(2025)“Exosome Therapy in Knee OA”
⇒ 世界3,000例解析。重い副作用ゼロ、痛み平均27mm改善。 -
Filardo G.(2024)“PRP Meta-analysis”
⇒ ヒアルロン酸よりPRPの方が痛みを平均12mm多く減らした。 -
厚生労働省 医療費控除の手引き2025
⇒ 自由診療でも年間10万円超は所得控除になると明記。
自由診療について(費用・リスク・未承認であること)
- 自由診療です:PRP療法・エクソソーム(幹細胞培養上清液)の注射は、健康保険が使えない自由診療です。
- 費用(税込):エクソソーム 1回 185,000円/4回 515,000円/6回 740,000円/10回 1,136,000円。PRP療法など、そのほかの費用は自費診療のページをご覧ください。
- 主なリスク・副作用:注射した部位の痛み・腫れ・熱っぽさ・内出血、感染、アレルギー反応、採血に伴う痛みや気分不良など。効果には個人差があり、効果が得られない場合もあります。
- 未承認であること:幹細胞培養上清液(エクソソーム)は、国内で医薬品として承認されたものではありません。使用する製品の入手経路、国内での承認品の有無、海外での安全性に関する情報は、治療前に書面でご説明します。
まとめ
- 膝の再生医療にも副作用はあります。重い副作用はまれですが、ゼロではありません。
- 副作用を抑えるためには、診察 → 確認 → 当日の清潔な手順 → 注射後48時間のケアの流れを大切にしましょう。
- 気になる症状があれば、我慢せずに早めにご連絡ください。
治療を受けるかどうかは、メリットとリスクの両方を知ったうえで、ご自身で決めていただくことが大切です。わからないことは、どんなことでもご相談ください。
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