PFC-FDとは何か ― PRPとの違いを仕組みで整理(中身・つくる場所・注射までの日数)

ひとしずくの血液から2本の道が分かれ、左に液体の入った試験管、右に粉末の入った小瓶がある、PRPとPFC-FDの違いをイメージしたイラスト 組織修復治療
この記事の要点
  • PRPもPFC-FDも、患者さんご自身の血液を材料にする注射です。
  • PRPは「血小板を濃縮した血漿(けっしょう)」、PFC-FDは「PRPから成分を取り出し、粉末(フリーズドライ)にしたもの」です。
  • 違いは、中身・つくる場所・注射までの日数にあります。
  • どちらが優れているかについて、明確な結論は出ていません。
  • どちらも公的医療保険が使えない自費診療で、効果には個人差があります。

膝の痛みについて調べていると、「PRP」と「PFC-FD」という似た名前の治療が出てきます。どちらも自分の血液を使う注射だと説明されていて、何が違うのか分かりにくい、というご相談をよくいただきます。

この記事では、PFC-FDとは何かを、PRPとの違いに絞って整理します。どちらが良いかを決めるための記事ではありません。それぞれが「何を」「どこで」「どのように」つくって注射するものなのかという仕組みの違いを知り、診察で説明を聞くときの下地にしていただくためのものです。

まず結論:PFC-FDは、PRPを「もとに」つくるもの

  • PRPご自身の血液から、血小板を多く含む部分を取り出して濃縮した血漿です。
  • PFC-FDPRPをさらに加工して、血小板に由来する成分を取り出し、フリーズドライ(凍結乾燥)で粉末にしたものです。

つまり、ふたつはまったく別の治療というより、同じ材料(ご自身の血液)から、加工の度合いを変えてつくったものと考えると分かりやすくなります。以下で、それぞれを順に見ていきます。

PRPとは ― 血小板を濃縮した血漿

PRPは「多血小板血漿」の略称です。血液の中の血小板は、けがをした場所に集まり、組織の修復に関わるたんぱく質(成長因子)を出す働きを持っています。PRPは、この血小板を多く含む部分を、採血した血液から遠心分離という方法で取り出して濃縮したものです。

一般的には、採血したその日に医療機関の中でPRPを作製し、そのまま注射します。血小板という細胞そのものを含んだ液体を注射する、という点がPRPの特徴です。

PFC-FDとは ― 血小板由来の成分を取り出し、粉末にしたもの

PFC-FDは、PRPをさらに加工してつくります。血小板から成長因子などの成分を取り出して濃縮し、フリーズドライ(凍結乾燥)で粉末にしたものです。血小板などの細胞そのものは含まず、そこから取り出した成分を使う点が、PRPとの大きな違いです。

加工は医療機関の中ではなく、国(厚生労働大臣)の許可を受けた特定細胞加工物製造施設で行います。採取した血液は感染症検査を経てから加工され、粉末の状態で医療機関に届きます。注射する直前に生理食塩水で溶かして、膝の関節の中に注射します。

同じ採血管から左右に枝分かれし、左は遠心分離して液体のまま使うPRP、右は加工施設で成分を取り出して粉末にするPFC-FDを示した模式図
PRPとPFC-FDのつくり方の違い(模式図)。どちらもご自身の血液が材料です

構造で比べる:PRPとPFC-FDの違い

比べる点PRPPFC-FD
材料ご自身の血液ご自身の血液
注射するもの血小板を濃縮した血漿(細胞を含む)血小板に由来する成分を取り出し、粉末にしたもの(細胞は含まない)
つくる場所一般的には医療機関の中国の許可を受けた特定細胞加工物製造施設
注射までの日数一般的には採血した当日採血からおよそ3週間後(採血日と注射日は別の日)
注射するときの形液体のまま粉末を生理食塩水で溶かしてから
公的医療保険適用外(自費診療)適用外(自費診療)

※ PRPの作製方法や日程は、医療機関や使う機器によって異なります。

表で見ると、違いは主に「注射するもの」「つくる場所」「注射までの日数」の3点です。PRPは当日に完結しやすい一方、PFC-FDは外部の施設で加工するため、採血と注射で少なくとも2回の来院が必要になります。

「どちらが効くのか」については、まだ結論が出ていません

PRPとPFC-FDのどちらが優れているかについて、現時点で明確な結論は出ていません。膝の状態や痛みの原因、これまでの治療の経過によって、検討の仕方も変わります。名前や加工の違いだけで「こちらのほうが効く」と判断できるものではない、という点は知っておいてください。

共通していること

  • 材料は、患者さんご自身の血液です
  • 公的医療保険が使えない自費診療で、費用は全額自己負担です
  • 医薬品医療機器等法上の承認を受けた医薬品ではありません
  • 効果には個人差があり、十分な効果が得られない場合があります
  • ご自身の血液が材料でも、注射に伴う副作用がないわけではありません

「自分の血液だから安心」と受け取られがちですが、注射である以上、痛みや腫れ、まれに感染などが起こる可能性はあります。主なリスク・副作用はこの記事の末尾にまとめています。治療を受けられない方の条件などは、診察の際にご説明します。起こりうる症状や、治療を見合わせる場合については、PFC-FDの副作用・リスク・受けられない人でも整理しています。

当院でのPFC-FD療法の流れ

PFC-FD療法の流れを3つの段階で示した図。左から採血、専用施設で加工、後日膝に注射
採血から注射まで、およそ3週間かかります。採血の日と注射の日は別の日です

当院で膝の自費診療としてご案内しているのは、PFC-FD療法です。おおまかな流れは次のとおりです。

  • 1. 診察・採血診察と画像検査で膝の状態を確認し、治療の内容にご納得いただいたうえで、約50mLを採血します。その場で決めずに持ち帰って検討していただくこともできます。
  • 2. 専用の施設で加工国の許可を受けた特定細胞加工物製造施設で、感染症検査のうえ加工します。およそ3週間かかります。
  • 3. 後日、膝に注射あらためてご来院いただき、膝の関節の中に注射します。入院は必要ありません。

スタンダードとプレミアムの2つの種類があり、それぞれ1〜3回の料金を設けています(費用はこの記事の末尾に記載しています)。どれが合うかは、膝の状態をうかがったうえで診察時にご説明します。通院の回数や注射後の過ごし方も、診察の際にご案内します。

検討する前に知っておいてほしいこと

相談スペースで、看護師が膝の模型を使って説明し、女性の患者さんが穏やかな表情で聞いている様子
※ 写真はイメージです

保険でできることを先に

当院では、PFC-FD療法を「保険診療でできることを尽くしたうえで、それでも残る痛みに対して検討する選択肢」と位置づけています。リハビリや注射、条件を満たす場合の保険適用の治療などを先に確認することで、自費の治療が本当に必要かどうかを判断しやすくなります。この順番の考え方は、膝の痛みで自費診療を考える前に ― 保険でできることをやり切るで詳しくご説明しています。膝の治療の全体像は、膝の痛みの治療法を一覧で比較もあわせてご覧ください。

膝の状態によっては、期待できる効果が限られます

変形が大きく進んだ段階では、PFC-FD療法で期待できる効果は限られます。また、同じように注射をしても、感じ方には大きな個人差があります。当院では、こうした点も診察の場で率直にお伝えしています。

保険診療と同じ日には受けられません

日本の公的医療保険では、保険が適用される診療と適用されない診療を一連の中で併せて行うことが、原則として認められていません。そのため、PFC-FD療法を受ける日は、保険診療とは別の日に設けます。具体的な通院の組み立て方は、診察時にご説明します。

「受けるかどうか」は、説明を聞いてから決めてください

診察は、自費の治療をお勧めすることを目的としたものではありません。膝の状態を確認したうえで、保険の範囲でまだできることがあればそれをお伝えし、PFC-FD療法を検討する段階であれば、費用とリスクを含めてご説明します。

よくいただくご質問

PRPとPFC-FDは、どちらを選べばよいですか

どちらが優れているかについて、明確な結論は出ていません。当院で膝の自費診療としてご案内しているのはPFC-FD療法です。まずは診察で膝の状態とこれまでの治療の経過をうかがい、そもそも自費の治療を検討する段階かどうかから一緒に確認します。

ほかの医療機関でPRPを受けたことがあります。相談できますか

ご相談いただけます。いつ、どこに、何回受けたか、その後の経過がどうだったかをお聞かせください。分かる範囲で構いません。

自分の血液を使うなら、副作用の心配はありませんか

材料はご自身の血液ですが、副作用がまったくないわけではありません。注射した部分の痛みや腫れ、熱感、内出血などが起こることがあり、まれに関節の中の感染などを起こす可能性もあります。採血の際に気分が悪くなる方もいます。主なリスク・副作用は、この記事の末尾にまとめています。

採血した日に注射まで終わりますか

いいえ。PFC-FD療法では、採血した血液を専用の施設で加工するため、注射はおよそ3週間後にあらためて行います。採血の日と注射の日で、少なくとも2回のご来院が必要です。

まとめ

PRPとPFC-FDは、どちらもご自身の血液を材料にする注射です。PRPは血小板を濃縮した血漿を当日に注射することが一般的で、PFC-FDはそこから血小板に由来する成分を取り出して粉末にし、外部の施設で加工してから後日注射します。違いは中身・つくる場所・注射までの日数にあり、どちらが優れているかについては明確な結論が出ていません。

どちらも自費診療で、効果には個人差があります。名前の違いにとらわれるよりも、今の膝の状態と、これまでに受けてきた治療を整理することが先です。「自分は自費の治療を考える段階なのか」が分からない方は、一度ご相談ください。

まずは、今の膝の「現在地」を整理するところから

保険診療での診察・検査・リハビリからご相談いただけます。

PFC-FD療法に関する説明(自由診療)
公的医療保険の適用について
本治療は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。
標準的な費用
スタンダード(PFC-FD):1回 163,000円/2回 251,000円/3回 350,000円
プレミアム(PFC-FD 2.0・5.0):1回 328,000円/2回 548,000円/3回 713,000円
いずれも税込。採血・血液の加工・注射までの費用を含みます。医療費控除の対象となる場合があります。
治療の内容
患者さんご自身の血液を約50mL採取し、国(厚生労働大臣)の許可を受けた特定細胞加工物製造施設で、感染症検査のうえ加工します。加工にはおよそ3週間かかり、後日あらためて膝関節内に注射します。採血日と注射日は別の日となります。
主なリスク・副作用
注射部位の痛み、腫れ、熱感、内出血、血腫が生じることがあります。まれに関節内の感染、神経の損傷、アレルギー反応を起こす可能性があります。採血に伴い、気分不良やめまい(血管迷走神経反応)が生じることがあります。効果には個人差があり、十分な効果が得られない場合があります。
未承認医薬品等であることについて
本治療に用いるPFC-FDは、医薬品医療機器等法上の承認を受けた医薬品ではありません。医薬品ではないため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
入手経路等
患者さんご自身から採取した血液を原料とし、国(厚生労働大臣)の許可を受けた特定細胞加工物製造施設において加工されたものを使用します。医師の個人輸入によるものではありません。
国内の承認医薬品等の有無
本治療と同一の効能・効果で国内の承認を得た医薬品はありません。
お問い合わせ先
さくら通り整形外科クリニック 電話 0776-58-7138/福井県福井市日之出4-11-17
宇賀治 修平 院長
監修

宇賀治 修平(うがじ しゅうへい)

さくら通り整形外科クリニック 院長/整形外科専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
福井県福井市日之出4-11-17

この記事を執筆した人
宇賀治 修平 院長
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医

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