半月板損傷は自然に治るのか ― MRIでわかること・わからないこと

テニスコート脇のベンチに腰かけ、膝に手を添えて考えている女性のアイキャッチ(「自然に治る? MRIでわかること」の文字入り) 再生医療
キーワード半月板損傷自然に治るかMRI検査保険診療
この記事の要点
  • 半月板損傷が自然に治るかどうかは、傷の場所・傷の形・傷ができたきっかけによって違います。ひとくくりに「治る」「治らない」とは言えません。
  • 半月板は、外側のふちには血流がありますが、内側に近づくほど血流が少なく、傷が治りにくい組織です。
  • 「傷そのものが元に戻ること」と「痛みや動かしにくさが落ち着くこと」は、分けて考えることが大切です。
  • 半月板はレントゲンには写りません。MRIで傷の有無・場所・形を確かめますが、画像だけで痛みの原因が決まるわけではありません。
  • 膝が急に動かなくなる、強く腫れる、がくっと抜けるといった場合は、様子を見ずに早めに受診してください。

「半月板が傷んでいますね」と言われて、「手術をしないと治らないの?」「このまま自然に治るのを待っていてもいいの?」と不安になった方も多いのではないでしょうか。スポーツ中にひねったわけでもないのに、しゃがんだり立ち上がったりしたときから膝が痛む、という方もいらっしゃいます。

この記事では、半月板損傷は自然に治るのか、MRIでは何がわかって、何がわからないのかを整理します。ご自身の膝の状態を知り、診察で相談するときの手がかりにしていただくための記事です。実際の状態と治療は、診察と検査のうえで医師が判断します。

半月板とは、どんな組織か

半月板(はんげつばん)は、太ももの骨とすねの骨の間にある、軟骨のような組織です。膝の内側と外側に1つずつあり、上から見るとアルファベットの「C」のような形をしています。

半月板には、歩いたり階段を上り下りしたりするときに膝にかかる力を受け止めるクッションの役割と、太ももの骨とすねの骨の組み合わせを安定させる役割があります。

外側 内側 血流がある外側のふち 血流が少ない部分
右膝のすねの骨を上から見た模式図。半月板は内側と外側に1つずつあります(形や幅は簡略化しています)

半月板は、外側のふちには血流がありますが、内側に近づくほど血流が少なくなります。血流は、傷ついた組織が治っていくための材料を運ぶ大切な通り道です。このしくみが、「半月板損傷は自然に治るのか」という疑問に深く関わっています。

半月板損傷は自然に治るのか

結論からお伝えすると、傷の場所や形、傷ができたきっかけによって違う、というのが答えです。主な違いを整理すると、次のようになります。

見るポイント治る可能性が考えられる場合治りにくいと考えられる場合
傷の場所血流がある外側のふちに近い傷血流が少ない内側寄りの傷
傷の形・大きさ小さく、ずれていない傷大きく裂けた傷、ちぎれた部分がめくれたりはさまったりする傷
傷ができたきっかけスポーツなどで膝をひねった、比較的若い方の新しい傷年齢とともに半月板がすり減り、傷みが重なってできた傷(変性による損傷)

※ 一般的な考え方を整理したものです。実際には、靱帯や軟骨の状態、膝の使い方なども合わせて判断します。

家庭菜園でしゃがんだ姿勢から立ち上がりかけ、膝に手を添えて気にしている女性
※ 写真はイメージです

「傷が治る」と「痛みが落ち着く」は別のこと

中高年の方に多い、年齢とともに傷みが重なってできた半月板損傷では、傷そのものが元どおりになるとは限りません。一方で、膝のまわりの筋力をつけたり、膝への負担を減らしたりするうちに、痛みや動かしにくさが落ち着いていくことがあります。

つまり、「自然に治るか」を考えるときは、画像で傷が消えるかどうかと、ふだんの生活で困らなくなるかどうかを分けて考えることが大切です。どちらを目指せそうかは、膝の状態によって違います。

反対に、「そのうち治るだろう」と痛みを我慢して動き続けると、傷が広がったり、まわりの軟骨に負担がかかったりすることも考えられます。様子を見る場合でも、一度は原因を確かめ、どのくらい動かしてよいかを相談しておくと安心です。

様子を見ずに受診してほしい症状

次のような症状がある場合は、半月板の傷がずれて関節の動きをじゃましていたり、靱帯など半月板以外の部分も傷ついていたりすることが考えられます。自然に治るのを待たずに、早めに受診してください。

こんなときは、早めに受診してください
  • 膝が急に動かなくなる、曲げ伸ばしの途中でひっかかって止まる
  • 膝が最後まで伸びきらない
  • 膝が大きく腫れている、熱をもっている
  • 歩いているときに膝ががくっと抜ける
  • けがのあとから、体重をかけて歩くのが難しい

膝が急に動かなくなる状態は「ロッキング」と呼ばれ、ちぎれた半月板が関節にはさまっていることがあります。無理に動かそうとせず、受診してください。

そこまで強い症状はなくても、しゃがむ・立ち上がる・ひねる動作で膝の内側や外側が痛む、膝の中でひっかかる感じがする、といった状態が続く場合は、一度整形外科で原因を確かめることをおすすめします。膝が腫れて水がたまっているような感じがある場合は、膝に水がたまる原因と、抜いても繰り返す人の共通点もあわせてご覧ください。

MRIでわかること・わからないこと

膝の痛みでまず行うことの多いレントゲン検査は、骨の形や、骨と骨のすき間を確かめるのに適した検査です。ただし、半月板はレントゲンには写りません。半月板の状態を確かめたいときに役立つのが、MRI検査です。

  • MRIでわかること半月板の傷があるか、どこに、どんな形の傷があるか。あわせて、靱帯や軟骨の状態、骨の内部の変化、関節にたまった水なども確かめられます。
  • MRIだけではわからないこと画像で見つかった変化が、いまの痛みの原因かどうか。年齢とともに、痛みのない半月板の変化が見つかることもあります。問診や診察と合わせて判断します。

MRIの画像に半月板の傷が写っていても、それだけで治療の方法が決まるわけではありません。どの動作で、膝のどこが、どのくらい痛むのかという診察の情報と、画像の情報を重ね合わせて、痛みの原因と治療の方針を考えます。

MRI検査の前に、腕時計や指輪、ヘアピンなどの金属を外してトレーに置いている手元
※ 写真はイメージです
MRI検査を受ける前に伝えてほしいこと
  • 心臓ペースメーカーなど、体の中に入っている医療機器や金属がある
  • 妊娠している、またはその可能性がある
  • 狭いところが苦手で、検査が不安

MRIは強い磁石を使う検査のため、腕時計やアクセサリー、ヘアピンなどの金属は外していただきます。検査を受けられるかどうかは、事前にうかがったうえで判断します。

当院ではMRIを院内に設置しており、診察から検査までを院内で行えます。設備については、本体サイトのオープン型MRIのご案内をご覧ください。

院長の解説動画

レントゲンに写らない半月板や靱帯を、MRIで確かめる

骨は異常がなくても痛むとき、MRIで何を確かめるのかを院長が解説しています。膝のお話は11分2秒ごろからです。

治療の考え方

半月板損傷の治療は、傷の状態、症状、年齢、ふだんの生活やスポーツの内容などを合わせて考えます。まずは、手術をしない治療(保存療法)から始めることが多くあります。

  • 膝を支える力をつける理学療法士と一緒に、太ももやお尻の筋力、膝の曲げ伸ばしの動きを保つ運動に取り組みます。膝をひねりにくい体の使い方も確かめます。
  • 痛みや炎症をやわらげる痛みの程度に応じて、飲み薬・湿布・塗り薬を使います。必要に応じて、ヒアルロン酸などの関節内注射を検討します。
  • 膝への負担を減らす深くしゃがむ・膝をひねる動作を控える、体重を管理する、サポーターを使うなど、日々の負担を減らします。
  • 経過を見て見直す治療を続けても症状が変わらない、ひっかかりを繰り返すといった場合は、検査の結果も合わせて、次の方法を一緒に考えます。
リハビリ室で、女性が膝の裏にタオルを置いて太ももに力を入れる運動をし、理学療法士がそばで見守っている様子
※ 写真はイメージです

注射やお薬には、それぞれ副作用やリスクがあります。たとえば関節内注射では、まれに感染や、注射のあとに一時的に痛みや腫れが強くなることがあります。どの方法も、すべての方に同じように効果があるわけではありません。

半月板損傷のリハビリでどんなことを行うのか、毎日の生活で気をつけたいことは、当院の理学療法士がまとめた膝の半月板損傷のリハビリについてで詳しく紹介しています。

手術についての当院の体制

ロッキングを繰り返す場合や、傷の場所・形によっては、手術が検討されることがあります。当院では手術は行っておりません。手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関にご紹介します。紹介先で手術を受けたあとのリハビリテーションは、当院で継続していただけます。

半月板の状態は、診察と検査で確かめます

「様子を見ていてよいのかな」と迷っている方も、ご相談いただけます。保険診療での診察・検査から始めます。

お電話でのご予約は 0776-58-7138

よくいただくご質問

半月板損傷と言われました。手術をしないといけませんか

半月板損傷と言われたからといって、必ず手術が必要になるわけではありません。まずはリハビリなどの手術をしない治療から始めることが多くあります。ただし、膝が動かなくなる状態を繰り返す場合などは、手術が検討されることもあります。どの方法が合うかは、診察と検査の結果をもとにご相談します。

痛みが落ち着いてきたら、半月板は治ったということですか

痛みが落ち着くことと、傷そのものが元に戻ることは、必ずしも同じではありません。痛みが落ち着いても、膝に負担のかかる動きを急に再開すると、また痛むことがあります。運動や仕事の再開の時期は、膝の状態を確かめながら、医師や理学療法士とご相談ください。

MRIは必ず撮らないといけませんか

すべての方に必要なわけではありません。問診や診察、レントゲンの結果から、半月板や靱帯の状態を確かめる必要があると判断した場合に、MRIをおすすめします。ほかの医療機関で撮ったMRIの画像がある場合は、受診の際にお持ちください。

年齢のせいだと言われました。様子を見るしかないのでしょうか

年齢とともに半月板が傷みやすくなるのは確かですが、様子を見るしかないというわけではありません。膝を支える筋力をつけることや、膝への負担を減らす工夫で、痛みとうまく付き合っていける場合もあります。気になる症状が続くときは、一度ご相談ください。

痛みがあっても、歩いたり運動したりしてよいですか

痛みが強い時期や、膝がひっかかる感じがある時期は、無理をせず膝を休めることが大切です。一方で、動かさないでいると筋力が落ち、かえって膝に負担がかかりやすくなります。どのくらい動かしてよいか、どんな運動が合うかは膝の状態によって異なりますので、医師や理学療法士にご相談ください。

まとめ

半月板損傷が自然に治るかどうかは、傷の場所(血流がある外側のふちか、内側寄りか)、傷の形や大きさ、傷ができたきっかけによって違います。年齢とともに傷みが重なってできた損傷では、傷そのものが元に戻らなくても、痛みや動かしにくさが落ち着いていくことがあります。

半月板はレントゲンには写らず、MRIで傷の有無や場所、形を確かめます。ただし、画像の変化と痛みの原因が一致しないこともあり、診察と画像を合わせて判断することが大切です。膝が急に動かなくなる、強く腫れる、がくっと抜けるといった場合は、早めに受診してください。

保険診療以外の選択肢(自費診療)も含めて治療の全体像を知りたい方は、膝の痛みの治療法を一覧で比較を、自費診療を考える前に確かめておきたいことは、膝の痛みで自費診療を考える前に ― 保険でできることをやり切るをご覧ください。

半月板損傷と言われたら、まず状態を知るところから

保険診療での診察・MRI検査・リハビリからご相談いただけます。

宇賀治 修平 院長
監修

宇賀治 修平(うがじ しゅうへい)

さくら通り整形外科クリニック 院長/整形外科専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
福井県福井市日之出4-11-17

この記事を執筆した人
宇賀治 修平 院長
宇賀治 修平
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本整形外科学会認定リハビリテーション医

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